結婚指輪を外す日。
結婚して1年と5ヶ月が経った。
籍を入れたその日から欠かさず付けていた結婚指輪を、今日外した。
正確に言えば手癖で付けたり外したりはしていたが、失くすのが怖くてすぐに定位置に戻すのだった。
たかが数グラムの金属の輪っかでしか無いのに、これ程までに重い存在になるとは。何もない左薬指は羽が生えたようにどこかふわふわしている。身軽な期間の方が何十倍も長かった癖に、半日が過ぎただけでももう落ち着かない。
2月の半ばごろ、指輪は装いを新たに返ってくるらしい。それまではどこか物足りない薬指を眺めながら日々を過ごそうと思う。